2010/05/13

編曲について考える(その2)

『ストリングスをよりライブにするための手法』

前のブログで、ストリングスやブラスは、ほとんどがアレンジャーによって
各フレーズが譜面としておこされると書きました。
それはストリングスやブラスが、ソロではなく複数名のセクションで演奏されるが故に
必然ともいえます。
ところが、ある日、ストリングスとエレキギターが激しく掛け合う
壮絶なエンディングの楽曲に出逢いました。
さだまさしのアルバム「夢供養」に収録されている「空蝉」です。

エレキギターは松原正樹さんによるアドリブ感満載のハードで情感あふれるプレイ。
それに対して、ストリングスも通り一遍のフレーズではなく、
エレキのアドリブフレーズに見事に相応したもので、エレキ同様にパッショネイトな演奏。
それはアレンジャーが最初からエレキのリードのフレーズとストリングスのフレーズを
すべて譜面におこしたとしか思えないものでした。

このエンディングについて、さださんのプロデュースをされている八野行恭さんに
数年前、ブログで尋ねてみました。
八野さん曰く、

「“空蝉”は、まず先に松原正樹さんによるエンディングのアドリブ・ソロがあり、
それを採譜して、弦のフレーズに反映させたようです。
このレコーディングは、僕が入社する1年前に行われ、この部分が特に印象的でし
たので、後日(アレンジャーの)渡辺俊幸さんにこの時の模様を聞きました。
弦の人たちの演奏能力も相当なレベルですね。」

まさにアレンジャーの手腕とミュージシャンの手腕が存分に発揮された
例と言えるのではないかと思います。

渡辺俊幸さんの名アレンジをバタV3さんが見事に再現した「空蝉」。
エンディングのストリングスとバタさんの渾身のエレキも是非聴いてください。

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