2012/10/21

無人駅こそユニバーサル化を

昨日は若い頃に務めていた特別支援学校の同窓会。
車いすやエルボクラッチという杖を使い、母親やヘルパーさんと共に元気な表情でにこやかに集まった教え子たち。ひとりひとりの近況を聴きながら、立派に力強く生活している姿に感動。

そういえば嘗ては修学旅行などの際に、駅の階段を車いすをかついで上り下りしたものだったが、最近では多くの駅にエレベーターが設置されて、便利になったものだと感慨にふけったり。

ところが、ひとりの教え子はタクシーで一時間半かけて海山町から松阪の会場まで来たという。
彼女の家の近くにはJR船津駅があるので、それを利用すれば楽なはずなのだが、
JR船津駅は跨線橋があって足が不自由な彼女は利用できないのだという。
JR船津駅 右隅に跨線橋が見える

駅員さんが居れば、たとえエレベーターがなくとも助けてもらえる。
無人駅ではそれも望めない。
JRに要望しても一向になしのつぶてらしい。

無人駅だからこそ、エレベーターは無理でも、某かの工夫ができないのだろうか。
駅での改札は不要なのだから、反対側のホームには跨線橋を使わずとも行けるようにするとか。


高齢者や妊婦にとっても、階段の上り下りは段数が少なくとも大変しんどいもの。
企業の合理化で無人化するのはやむを得ないとしても、無人化で利用者が利用しづらい状況になったものを放置しておくのは、公共交通機関を担う企業の責任を放棄していると言われても仕方あるまい。

経済効率に傾倒して、サービスを受けるべき人への心遣いを失ってしまっては本末転倒。

すべての人に優しいユニバーサルな環境作り実現への工夫が求められている。

感受性に水をやり続ける

10月8日、松本猛さんの松本春野さんの講演会に妻と行ってきた。
松本猛さんは絵本画家、いわさきちひろの息子であり、安曇野ちひろ美術館の前館長。
松本春野さんは猛さんの娘で、新進気鋭の絵本作家。
講演ではちひろの生き様や、
猛さん・春野さん合作の絵本「ふくしまからきた子」づくり等々、
お二人から示唆に富んだ深いお話を聴くことが出来た。 
私たちは、原発、領土問題、戦争、諸々の問題に対峙する今、きちんと自らの感性でそれらを見据え、自身の思いを語ることが出来るだろうか。
 
茨木のり子さんの言葉を引用しながら、
春野さんの思いを語った次のことばは、
いわさきちひろのDNAを受け継ぎながら
ひとりの絵本作家としての信念を力強く感じるものだった。

「絵本は感受性を育ててくれる。
でも水をやらないと感受性は枯れてしまう。
だから感受性への水やりを怠ってはいけない。
いろんな人と会話して、生命の大切さを考える。
それをやり続けていけば、
時代や社会が変わっても何が大切かを見失わないでいけると思う。
感受性の水やりに一役かえる絵本というものを創り続けていきたい。」

普段から感受性への水やりを怠らぬよう努めたい。
松本春野
松本猛